人事制度の研究

1.人事制度改善の狙い

 (1) 企業体質強化の一環として
部門別・部署別に『何を』、『どれだけやるか』の業績責任が明確になりますと、次にその結果責任(アカウンタビリティー)を追求するための厳正な『業績評価システム』と評価結果を組織・人事に反映させる公正な『人事処遇システム』の構築が必要となります。このシステムは 組織から管理会計、さらには人事管理などにまでおよぶ総合的な経営管理システムです。
そして、このトータルシステムを有機的に運用することによって、組織・人事に『業績中心の精神』を浸透・定着させれば、組織・管理システムの中に『競争原理』が働き、企業体質の強 化を一層促進することができます。
 (2) 全社共通の処遇基軸としてチャレンジ性のある資格制度の導入
企業が求める人材期待像(=社員としての成長期待像)の柱として、職務遂行能力の発展段階を 明確にした資格制度の導入により、昇格・昇給・賞与・退職金などの全社共通の処遇基軸を確立します。そして資格制度の公正な運用によって、社員のやる気を一層喚起させるとともに、 ダイナミックな組織運営によって組織・人材を活性化します。
 (3) 年功要素をも加味した日本型能力(実力)主義へ移行
今日、いくら能力主義時代とはいえ、今まで永年、年齢・勤続・学歴といった年功要素で処遇 してきたものを、新制度で一挙に能力・実力主義に切り替えることは得策とはいえません。ましてや、能力や実力を測る物差しの仕組(絶対評価の仕組)や土壌もできていないところに導入 しますと公正さを期することができないため、無用な混乱を招きます。それよりも、その利点を温存させながら、計画的に能力・実力主義を強化していくことが望まれます。
そして、業績管理システムの成果主義と日本型能力(実力)主義とを調和させた新しい経営シス テムを構築していくことが重要となります。
 (4) 人事考課はオープン主義・育成加点主義を前提
人事考課の最大の目的は人材育成にあります。したがって、考課基準や考課結果をオープンに し、人と人を比較する相対考課や査定原点主義であってはなりません。あくまでも、その資格 等級(担当する職務)にふさわしい仕事の達成基準や能力要件に対しての絶対考課でなければな りません。
そして、その考課の物差しに対して、何を、どれくらい達成しているのか、何が不足している のかを明らかにして、その結果を上司から部下にフィードバックして、部下の能力伸長を促す ような助言・指導が必要です。
また、部下が自らより大きな目標にチャレンジさせていくためには、育成加点主義の考課を行 うことが必要です。
 (5) 公正な個別賃金政策によって近代的な賃金管理を確立
個 別賃金の公正さの条件は、『生活保障の原則(生計費に見合うこと)』と『労働対価の原則(仕事・能力に見合うこと)』を満たすことですが、従来、一般的に 労働対価としての概念が乏しく、しかも年功要素で基本賃金を決定していました。しかし、企業体質をメンテナンス型からパフ ォーマンス型へ脱皮させていくためには、労働対価の原則を重視した近代的な賃金体系に組み立て直すことが求められます。
労働対価としての個別賃金を高くするためには、各人の仕事・ 能力を向上させ、会社の生産性を高くしなければなりません。そして、生産性が高くなれば、 賃金原資枠も広げることが可能となります。
『社員の能力向上=会社の業績向上=社員の生活向上』を実現するためには、『能力開発型トータル人事処遇システムの再構築』によって可能となります。

 

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